手動方向幕巻取機の製作

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 方向幕を入手したは良いものの,意外と幅が大きく長いので, 広い場所がないとせっかくのお宝の全容を見ることが出来ません. 本物の電動巻取機を購入する手もありますが,重く大きく高価で,指令機まで含めるとかなりのスペースを食ってしまいます. そこで方向幕の動きが手軽に楽しめるように,幕交換が簡単に可能で軽量な手動巻取機を製作しました.
 巻取機メカニズムの最大のポイントは,巻取りが進むにつれて送り側と巻取側の軸直径が変わるため, 2軸の回転が独立でなければならないことです. また幕が弛まないように,ある程度の張力を維持する必要もあります. 実物の巻取機はこれらを実現するため,
1)スパイラル(ねじれ)歯車を用いた巻取機構
2)スプリング内蔵機構
の2つが用いられます. 前者はスパイラル歯車のスラスト方向の移動を巧みに使って駆動軸を切り替える方法です. 後者はロールカーテンのように巻取軸内に長く柔らかいスプリングを仕込み, 常に張力がかかるように保つ方法です. ここでは1)のスパイラル歯車による方法を紹介します.


巻取機に方向幕をセットした状態です.手前側にスパイラル歯車を使った巻取メカがあります. ハンドルを回すと,スパイラル歯車に軸方向の駆動力が働き, 左右どちらか一方のマイタギア(傘歯車)が噛み合って軸を回転し,他方はフリーとなります. 幅の狭い方向幕をセットする場合は,巻取りがずれないようパイプの非駆動側に適当な幅の円筒カラーを嵌めこみます.
アルミ材を用いているので,質量は3kgと壁掛品にしても問題無いレベルです. 全体の大きさはW770×H300×D152mmです(駆動部除く).

実際の動きをビデオでどうぞ→
駆動メカ側の部品と主要寸法です. スラスト押さえは本機構最大のポイントで,これが無いと軸が上がった時に噛み合いを維持できませんので, 摩擦力をうまく調整してください. 幕への張力は,マイタ歯車と裏側の駆動カラーが側面板を挟み込む状態を硬めに調整し, フリー軸になった時にブレーキ力が働くようにして得ています. なお寸法はあくまで参考ですので,実際に使用する部品に合わせて加減して下さい.
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非駆動側の部品と主要寸法です. 方向幕はあらかじめ予備のパイプに巻取り,パイプごと保管します. パイプは非駆動側のばね機構により,プッシュ式で簡単に交換できるようになっています. 幕は下側の駆動軸にセットし,アイドラローラーを経て上側の駆動パイプに養生テープ等で貼り付けます.
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駆動メカ側の巻取パイプ端部には,空転防止用のノッチを切ります. 巻取りパイプ用カラーには根元にM2ねじを植え込み,頭部をノッチピンとして使います. なお巻取パイプはアイドラーパイプと同一品ですが,長さは710mmです.
スラスト押さえ周辺のクローズアップです. ここでは配管固定用のΩ型金具を活用し,内側にフェルトを接着しています. 全体が回転しないよう長ねじでL金具に固定し,六角ボルトの締め付け状態により摩擦力を調整します.