概 要
バテロコの運転に客車を使うと乗客が１人減るのと，足を載せる場所が無くどうにも運転が窮屈なので，機関士専用の車両が必要になりました．
また，折から完成した屋上レイアウトでは超急カーブで曲線抵抗が大きく，客車をまともに牽くことが出来なかったので，
左右が独立して回転できる車輪を試そうと考えていました．
そこで，足を乗せて楽な姿勢で運転が可能な低床式のフラットカーを製作するとともに，
台車を小径の独立回転車輪で作ることにしました．
この車両の椅子の部分はコンテナになっており，台車と工具類を収納できるようになっています．
見かけは「チキ」か「ヒ」ですが，コンテナを積むので「コキ」と通称しています．
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独立回転車輪台車
ここでも車輪探しは難題でしたが，歯付ベルト用のフランジ付アイドラプーリーのなかで，
ベルト面に凹凸が無くフランジがプレス板モノのカシメで出来ているものがありました．
そこで片方のフランジをハンマーで叩いてはずし，残ったフランジのカシメをポンチで叩いて硬くするとともに
緩み止めで補強することにより，小径の車輪（φ45mm）を得ることが出来ました．
踏面がフラットなので本物の輪軸のような操舵機能はありませんが，左右独立回転なのでフランジによるガイドだけあれば良いわけです．
ここでは断面が長方形（22×10mm）の鉄パイプと，プーリーのベアリングを貫通する軸加工品を組み合わせ，四角の台車枠（軸距120mm）を構成しています．
写真で軸のように見える黒い部分は回転せず，プーリー間隔をゲージに合わせるとともにとともに，左右の枠を連結しているにすぎません．
緩衝用のばねは，ねじ付円筒防振ゴム（φ20×高さ20mm）を２個並べた超簡易版です．
この上に幅広の鋼板横梁（長さ230×幅60×厚さ4.5mm）をねじ留めし，センターピン用の穴を開け，ボールローラー２個による側受を設けてあります．
したがって台車の自由度は高くなく，水平回転のみフリーで，その他の動きはゴムにより多少吸収するといった程度です．
完成質量は1.8kg/個と，客車用台車の1/3となりました．
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車体
コキは床板１枚が車体すべてなので，ここでは600×250×18mmの厚手の集成材を用いて構成しました．
台車間中心は400mmとし，ここにM8用のツメ付きナットを打ち込んであり，台車をボルトで固定します．
側受のあたる部分は，床板が凹まないように２×４用の平金具(40×160mm)で補強しました．
両端は木材のササクレ保護のため，アルミを折り曲げた20×30mmのＬアングルをあててあります．
車体が低いのでカプラの位置を嵩上げせねばならず，ここでは電気配管用の250mm長Ｃチャンネル金具を用い，
これにキャスターのピンリンクカプラをねじ留めしました．
Ｃチャンネル床側には３箇所にタップが切ってあり，アルミアングル側から床板を通して，M8ボルトで締め付けてあります．
Ｃチャン上の手摺は，電子機器シャーシ用のステンレス金具です．
一方の車端にコンテナを位置決めできるよう，マグネットキャッチを２個配置しています．
また，コンテナがずれないよう内側から蝶ねじで固定するため，M6ツメ付きナットが１箇所に打ち込んであります．
完成質量は3kgです．標記類は，例によってテプラによりました．
Flat Car，平成19年製なので，Flt-19．
工具コンテナ
コキに積載するコンテナは9mm厚のコンパネ端材でそれらしく作り，
蝶番により蓋が開くようになっています．
また蓋中央には回転落とし込み式取手を付け，椅子としての機能を損なわず持ち運べるようにしました．
サイズは，幅250mm×奥行200mm×高さ200mmで，本物と異なり横向きに積載します．
床板へ固定用に，蝶番側の下部２箇所にマグネットキャッチ用の小鉄片を取り付けるとともに，
箱の底に蝶ねじ用のねじ穴があけてあります．
コンテナの中にはコキの台車とバテロコの運転に必要な工具類が収納可能です．
椅子として使用する場合はそのまま座ると硬いので，100円ショップの網状滑り止めを折りたたんで厚めに敷くと，
座布団代わりとして好都合です．
走行性能など
独立回転車輪の効果を確かめるため，台車に5kgの分銅を載せてカーブの接線法線方向にばね秤で曳きながら，
R=968mmを通過させたときの曲線抵抗を測定しました．
その結果，客車用台車では700〜800gf，本台車では230〜300gfと1/3程度に軽減されていることが確認できました．
ただ，やはりフランジのアタリはどうにも仕方なく，レールとのなじみを待つしか無いようです．
また，カシメのフランジがはずれはしないか，台車の自由度が少ないので脱線しやすくないかと心配したのですが，
今のところ非常に良好な走行特性を示しています．
